2018年10月15日がんセンターを受診しました。
【詳細記事】癌専門病院外来
【写真】神奈川県立がんセンター
担当医師から、こう言われました。
今日はひとりですか。
こちらで治療を希望ですか。
左の腎臓の腫瘍ですね。
多分悪性だと思います。
97%がんです。
診察室に入って、約3分ほどでした。
びっくりしました。なぜかというと、
まだ、この病院では、何の検査もしていません。
ということは、総合病院での検査結果を元に、
診断をしているということになります。
総合病院では、わからないと言われていたので、
まさか、すぐにがんと診断されるとは思っていませんでした。
腫瘍の大きさは2㎝くらいで、腫瘍部分を切り取る手術になります。
緊急性はないが、手術か様子を見るかの選択肢しかないです。
だったら、早く手術したほうがいい。
疑問点は、全部聞いてみようと思いました。
若いので、そのままにしておくという選択肢は、おすすめしません。
手術によって転移することは、進行したがんの場合はありますが、
早期がんの場合は、あまりないです。
腫瘍は、まだ小さいが、がんの確率は97%です。
手術したほうがいいと思います。
だったら、手術することにしようと思いました。
手術について詳しく聞くことにしました。
後でわかったのですが、主治医の先生は、
日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡学会認定
ロボット支援手術プロクター(指導医)でした。
この病院が、ダヴィンチを導入するにあたり、
大学病院から来られたのだそうです。
実際、手術はどうなるのか、詳しく説明していただきました。
腎臓の腫瘍と少しの正常部分を付けて取る部分切除手術になります。
方法は、開腹手術か腹腔鏡手術かロボット手術になります。
開腹手術は、腹筋を全部切るので、痛いです。
腹腔鏡手術は、縫う鉗子の操作が、関節がないので難しい手術です。
ロボット手術は、縫う動作のクオリティーが高いです。
ロボット手術が一番いいと思います。
ただし、来年の1月まで待っていただくことになります。
早期発見なので、1月まで手術をのばしても医学的な問題はありません。
費用はどれも保険適用なのでほとんど変わらないです。
もちろん迷うことなく、ロボットでお願いしますと即答しました。
ダヴィンチ手術を受けることができるので、少しほっとしました。
がんになった原因についても、聞いてみました。
年齢的に見て、遺伝性のものではありません。
後天的な遺伝子変異の問題なので、
原因はわからないというのが正直なところです。
結石はがんとは無関係です。
やはり、原因はわからないのかと思いました。
具体的な手術の方法についても詳しく説明していただき、
なんとなくイメージがわいてきました。
手術後についても聞いてみました。
追加治療はなく、3ヶ月に1回のCT検査、5年くらいは半年に1回、
5年から10年は年1回の経過観察になります。10年で卒業です。
がんの治療は長いんだなあと痛感しました。
手術の予定日は、1月8日にしておきます。
前日入院で翌日手術、手術時間は約3時間、入院期間は10日弱くらいです。
この病院に来るまでは、がんかどうかわからなかったのに、
もう手術の日まで決まりました。
11月19日に、再度がんセンターに行きました。
まずは、採尿、採血、X線検査、心電図測定、呼吸機能検査、血圧測定。
終了後、麻酔科を受診しました。
手術当日の麻酔について、とても丁寧な説明がありました。
その中で特に印象に残っているのが、
口から喉に細いチューブを入れて、人工呼吸を受けることでした。
実際、手術後、喉に違和感があったので、これが原因だと理解できました。
その後、泌尿器科で主治医の外来を受診しました。
前回の外来で手術の詳しい説明を受けていたのですが、
手術の説明、手術後の説明を、さらに詳しく丁寧に受けました。
説明資料もあり、不安はほとんどなく手術に臨めます。
あとは手術を待つだけ、それまでは病院に行くことはありません。
年末年始は、体調を崩さないように注意して過ごしました。
(参考)手術に関する説明資料
診断:ひだり腎癌疑い
(摘出標本で最終診断します。最終的に良性病変と診断される可能性もあります)
画像上の大きさ:約2㎝
現時点では転移病変は明らかではありません。
T1aNOMO stageⅠ 初期の腎癌と考えられます。
腎癌の治療法の基本は手術です。
治療選択肢
①腎部分切除術(腹腔鏡または開腹)
4㎝以下で手術した場合、5年生存率は95%を超えており治療効果はかなり高く、
ガイドラインでも第一選択となっています。
腎機能はできるだけ温存することで、将来の透析導入を予防します。
ただし、後出血、尿瘻(にょうろう)、仮性動脈瘤などの部分切除術特有の
合併症が、10%以下でありうる。
②腎摘除術(腹腔鏡)
部分切除術に比較すると合併症は少ないが、出血・周囲臓器損傷など、
手術一般の合併症の可能性はある。
術後は方腎になるため、腎機能悪化(透析導入)の懸念がある。
③凍結療法
腫瘍に針を刺して凍結壊死させる。術中の合併症は少ない。
保険診療ではあるが、国内の症例数はかなり少ない。
短期間の癌のコントロールは良好だが、長期成績(10年以上の)は不明。
慈恵医科大学柏病院で行っている。
④経過観察
当科の方針
ロボット支援腹腔鏡下ひだり腎部分切除術
ただし、術中所見によっては、腹腔鏡下での切除や縫合困難な場合もありうる。
その場合は、創を拡大切開して行う腹腔鏡(後腹腔鏡)補助下腎部分切除術に
切り替える場合もあります。
また、切除面から大量に出血した場合や癒着で部分切除が無理な場合などは、
腎全摘除に切り替えることもあります。
手術の方法 腹腔鏡下腎部分切除術
①膀胱にカメラを入れて、切除時の尿路を固定するために尿管内にステントと
呼ばれる細い管をいれます。
②横向きになって、小さな穴を5か所つくり、腹腔鏡を挿入します。
③腎臓へ流入している腎動脈と腎静脈を固定します。
④腫瘍の部位を超音波(エコー)で固定し、周囲の脂肪を除去します。
⑤腎動脈を機械によって遮断し、一時的に血流が行かないようにします。
⑥氷で腎臓を冷却し腎障害を極力避けるようにします。
⑦腫瘍を切除します。
⑧切除面を止血し、尿路・切断面を縫合します。
⑨腎動脈の遮断を解除して、出血の有無を確認します。
⑩手術した部分からの出血や尿を体外へ出すためのドレーンと呼ばれる管を
体内に留置し、創部を閉創して終了です。
合併症
部分切除術に特有な合併症
①後出血:
術後しばらくして切除部分から出血する場合があります。
今回最も懸念される合併症です。
出血がおさまらない場合は腎動脈の塞栓術や再手術が必要となります。
②尿瘻(にょうろう)または尿溢流(にょういつりゅう):
腫瘍を切除する際に尿路が開放するために尿路を縫合閉鎖してきます。
しかしながら接着不良の場合があり、尿が漏れだす可能性があります。
多くは尿管内にカテーテルを留置することで2~3週間以内に閉鎖する
ことが多いですが、再手術が必要になることもあります。
③腎動脈瘻や仮性動脈瘤:
部分切除術を行なった部分に小さな動脈と静脈の変形をきたし、
出血の原因となる病変ができることがあります。
後出血の原因となったり、術後のCTで判明したりします。
この場合、血管造影を行い、病後部の血管に対し塞栓術を行います。
腎の手術の一般的な合併症
④出血:
腎臓への血管が損傷し、大量出血した場合は、
大量輸血と腎全摘術で対応します。
⑤周囲臓器損傷:
手術操作中に周囲の臓器(血管、腸など)が損傷することがあります。
他科とも協力して修復術を行いますが、
重篤な合併症につながることがあります。
⑥気胸:
腎臓の上にある胸膜が損傷しておこります。
肺が膨らまなくなるので、胸腔ドレーンという管を
胸に留置して対応します。
⑦創感染・肺炎:
抗生剤等で予防しますが、術後発症する可能性があります。
⑧創ヘルニア:
創の下の筋肉がゆるんで、腸や脂肪が皮下に突出してくることがあります。
程度がひどい場合は、再手術が必要です。
⑨肺塞栓・脳梗塞・心筋梗塞:
いつでも誰でもなりえますが、緊張や血圧の変化、
安静などが誘因になっておこる場合があります。
特に肺塞栓の危険性は一般の方よりも高くなります。
⑩高炭酸ガス血症:
腹腔鏡使用時に炭酸ガスをお腹の中に入れて操作するため、
肺の機能が悪いと起こり得ます。
呼吸数の調節や薬物治療等で対応します。
注意事項
#腎部分切除では残した正常腎臓に腫瘍が再発することが2%程度あります。
この時は改めて腎全摘を行います。
#腎部分切除でも、術後腎機能が術前とまったく同等ではありません。
腎動脈遮断等の影響で、
血液検査でのクレアチニンは術前と比べ高くなります。
術後の経過
術翌日から水分を開始します。翌日または2日目から食事開始します。
切除面からの出血予防に術後2日まではベッド上で過ごしていただきます。
それ以降は歩行を許可します。
歩行開始後、尿道に留置したカテーテルを抜去します。
術後数日~1週間程度でドレーンの抜去をします。
順調な経過なら術後7日程度で退院です。
術後2カ月間は後出血等の危険性があります。
後出血の症状は急激な腰痛・腹痛です。
退院後の外来で、摘出した腫瘍の病理結果(顕微鏡的検査)をご説明します。
退院後の外来通院
3~6カ月毎にCT検査で、再発転移の有無を確認していきます。
10年以上にわたり定期的な検査が必要です
(術後10年以上経過してから転移や再発を認めることがあります)。
かなり詳しい説明内容ですね。
TNM分類
手術の説明に書かれていた、T1aNOMOって何なのか調べました。
TNM分類は、原発腫瘍の大きさ(T)、所属リンパ節転移の有無(N)、
遠隔転移の有無(M)の組み合わせにより病期を判定します。
原発腫瘍(T)
TX 原発腫瘍が評価できない
T0 原発腫瘍がない
T1 7cm以下で腎臓にとどまる
T1a 4cm以下
T1b 4cmを超えるが7cm以下
T2 7cmを超え、腎臓にとどまる
T2a 7cmを超えるが10cm以下
T2b 10cmを超え、腎臓にとどまる
T3 腎静脈または腎周囲組織に進展するが、
同側の副腎への進展がなく、骨筋膜を超えない
T3a 肉眼的に腎静脈に進展する、または腎周囲組織に広がるが、
骨筋膜を超えない
T3b 肉眼的に横隔膜下の大静脈内に進展
T3c 肉眼的に横隔膜下の大静脈内に進展、または大静脈壁に広がる
T4 骨筋膜を超えて広がる(同側副腎への広がりを含む)
所属リンパ節転移(N)
NX 所属リンパ節転移が評価できない
N0 所属リンパ節転移がない
N1 1個の所属リンパ節転移
N2 2個以上の所属リンパ節転移
遠隔転移(M)
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり
日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会 編:腎癌取扱い規約 第4版,
金原出版, 40-47(2011)より改変
私の腎臓がんは、
T1a:4cm以下で、
N0:所属リンパ節転移がなく、
M0:遠隔転移なし、
ということになります。